コーンスネークが無精卵を産む

タイトル通りである。我が家の爬虫類の中で最古参、今年で5歳となるコーンスネーク・ゴーストが、産卵した。彼女はヴァージンだ。

近頃やけに餌食いがよく、丸々としていたもので、健康のために食事制限をするべきかと思っていた矢先のことである。ケージの掃除のため、大分手狭になっていた素焼きのウェットシェルターを退けた瞬間、見慣れない白い塊がゴロゴロと出てきたときは、それはそれは驚いた。最初は巨大な寄生バチの繭か何かだと思い焦った。いや今思えばアホか、という話だが。

卵を守る(?)コーンスネーク。
不完全な卵は、ソーセージのように隣と繋がっている。

指の先ほどのサイズの卵が、団子のようにまとめられていた。母親の体液なのか、何やらべとついた卵を一つ一つ外していった結果、その数なんと29個!太って見えるわけである。これだけの卵を抱えて、さぞ大変だったろう。とりあえず、彼女にはお疲れ様と言いたい。

1歳で我が家にお迎えしてから現在に至るまで、常にプラケで単頭飼いだったので、彼女が夜な夜な脱走して何処ぞのアオダイショウとワンナイトでもしていない限りは、無精卵である。しかしまあ一応ということで、卵を別容器に並べ数日間放置したが、案の定腐っただけであった。お父さん一安心。

ヘビの仲間には、単為生殖するものもいるので、もしかしたらとも思ったが、コーンスネークほど人の手が加わった愛玩動物に、今更そんな大発見はありえないのであった。

無精卵の産卵自体は、昔飼っていたセキセイインコがしていたので、珍しいことではないと思っていた。偽卵というものがある。無精卵を巣から撤去する際に、抱卵している親鳥にショックを与えないように、無精卵と交換して入れるためのものだ。鳥類にはよくあることなのだろう。思えば、朝食の玉子焼きだって無精卵なのだ。

ところが、コーンスネークの事となると、ネットにすら情報は多くない。全てのコーンスネークのメスがそうなる訳ではないのだろうか。だとすれば、事前に防げたトラブルである。

原因としてまず思い当たるのは、冬場の保温の甘さだろうか。ブリーディングの技術に、『クーリング』というものがある。冬時期にわざとヒーターを緩めてケージ内の気温を下げ、生体に季節の流れを感じさせることで、繁殖の成功率を上げるのだ。

我が家では、メタルラックを改造した温室に園芸用のヒーターを焚いて、ヘビたちの冬越しをしている。設定温度は26〜8度くらいで、真冬でも問題なく餌を食べる程度には保温できている。しかし所詮はビニール一枚の温室のこと、冷気を完全に遮断できるはずもない。温室内の温度差もあるだろうし、ケージのメンテナンスの際にファスナーを開ければ、当然ながら外気が入る。そんな半端な保温環境が、期せずしてクーリングの条件と合致したのではないだろうか。

他に原因があるとすれば、思い当たるのは餌の与えすぎだ。成長期もとうに過ぎたにも関わらず、本当によく食べる子なのだ。できる限り大きく育てあげたいという下心もあって、食うだけ食わせたのが良くなかったのかもしれない。具体的に言うと、週一回のペースでヒヨコやアダルトマウスLLを2匹くらい、コンスタントに与えていたと思う。もっとも、よく食べたから産卵したのか、産卵するためによく食べたのか、定かではないが……

いずれにせよ、事から一月半が経過した今現在、件のヘビ様は元気そのものだ。もしかしたら、自然環境下では間々あることなのかもしれない。引き続き、経過を観察しようと思う。

呑気に昼寝中。

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