デュビアやマダゴキなどの餌ゴキブリを繁殖させるにあたって難儀したのは、飲み水の管理だ。
最初の頃は、水入れを設置せずに果物や昆虫ゼリーなどで餌やりと同時に水分を与えていた。乾燥系のゴキブリたちは驚くほどに水切れに強いため、これでもまあ大きな問題は無く飼育できてはいた。
が、如何に丈夫であろうが、やはり飲み水はあったほうがいいだろう。そう思い立ち、色々と考えた。条件としては、水が汚れないこと、生体が溺れないこと、加えてそこそこの容量があれば尚良い。要するに、ある程度放置できるようなものが理想だ。
あれやこれやと試行錯誤した末に辿り着いたのが、市販の鳥用の円柱型給水器であった。
もともとがペットとしてメジャーな小鳥の用品なので、小さなペットショップなどでも大体置いてある。入手の容易さも魅力だ。
大きな生体ならこのまま使ってもいいのだが、小さな生体の場合、中に入って溺れてしまうことがある。これは、実際にあった話だ。
筒の中の水面を埋め尽くす程の、大量デュビアベビーのどざえもん達…正しく、地獄絵図であった。
そうならないように、給水口に布などを詰めて、水を吸い上げるようにする。うちでは、昔に買い込んで余っていたアクアリウム用のフィルターを切って詰めている。
フィルター部分は汚れるので、水換えのときに洗うか、汚れや破れが酷い場合は交換しよう。
フィルターを少し指で押して水に馴染ませてやれば、ものぐさ式給水器の完成だ。
これだけの容量があれば虫たちには充分だし、給水口が小さいので溺れたり水を汚される心配も無く、蒸発も防げるので足し水の手間も大幅に省ける。まさに革命的、と言っても良いのではないだろうか。
もしかしたら、既にこの器械を取り入れているパイオニアがいらっしゃるかもしれない。しかし一応、私なりに考えて自分で編み出したものなので、パクリだ何だという批判はご容赦いただきたい。少なくとも私が調べていた当時のネットでは、この方式はどこにも記されていなかった、と言い訳をさせていただく。
さて、良い事ずくめのこの給水器だが、欠点というか注意点もある。
まず第一に、その容量ゆえのサイズ感である。高さもあるので圧迫感があり、あまり小さな飼育ケージだとそもそも使えない。生体の性質とケースの容量を鑑みて、導入をご検討されたし。
もう一つ。これはどの給水器にも言えることだが、飼育ケージ内の床材や卵パックなどの足場材が、水に触れないようにすること。さもないと、毛細管現象によって瞬く間にケージ内の湿度が上がり、乾燥系のゴキ類などはそれだけでバタバタと落ちまくる。これも体験談だ。容量がデカいだけに、吸い上げる水の量も半端ではないので、特に気をつけたい。
最後に。実感として虫たちは新しい水の方が好きなようで、水換えした直後によく水入れに寄ってくるように思う。それが目には見えない水の変質によるものなのか、フィルターの汚れを嫌がっているのか、断言はできない。
ここまで『放置できる給水器』を語ってきて今更ではあるのだが、虫たちの為には、こまめに様子を見て適宜メンテナンスを施してやることが、理想である。生体の体調や飼育ケージ内の環境など、日々のチェックだけは怠らないようにしたい。
自戒の念を込めて。
水を飲むチャコジャイ女史。少々飲みづらそう。