擬態の達人、トビモンオオエダシャク

とあるマンションの中庭で、モミジの手入れをしていた。素性の良いモミジは、ハサミを使わず素手で摘み取るように剪定することができる。ポキポキと小気味よく、これが中々クセになる感触なのだ。

ポキ、ポキ、ポキ。

続いて細かい枯れ枝も。

ポキ、ポキ、ぐにゃ。

「うえっ!?」

思わず声が出た。見ればその枯れ枝が、グネグネと動いている。そのときの驚愕たるや、苦手な人なら卒倒ものだ。

トビモンオオエダシャク。いわゆる尺取り虫の中でも、飛び抜けて巨大なガの幼虫だ。色や質感など、枯れ枝そのもので感心するほど。あまりの枯れ枝ぶりに、剪定ばさみで両断されてしまうことも。一緒に仕事していた先輩職人の手により、哀れにも真っ二つになった彼らを見ると、枯れ枝はなるべく手で折り取ろうと思うのだった。

そんな彼らだが、サイズの割に食欲は慎ましく、また群れたりもしないので、目立った害は意外と無い。猫耳のような二本の突起の生えた顔も可愛いし、地面に落ちてもなお背筋をピンと伸ばして枝になりきる様子など、何ともいじらしいものだ。

イモムシ愛好家への第一歩として、お勧めしたい。

二本の突起が可愛い。
「いや、そんな生え方の枝は無えよ」とツッコみたくなる。

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