庭木の剪定というと、どこをどうしたらいいのか分からないという方も多いことと思う。
しかし相手は自然、一からキチンと勉強するには、覚えることが余りにも多すぎる。
そこで今回は、曲がりなりにもプロの植木屋として、庭木の剪定のポイントを大雑把に、ザックリとまとめてみたい。
小さく、密に、形良くが基本
根本的に庭園というのは、山や川などの自然風景を、コンパクトにまとめたものである場合が多い。
なので、大きさはある程度で抑えておかなければならない。
しかし単に小さく切っただけでは、枝が少なく何とも貧相な樹形になってしまう。
丁度いい大きさのところで、毎年刈り込みや芽摘みを継続して行うことで、小さいままでも密で充実した枝となる。
そしてそれが、格好いい樹形の条件であると言えよう。
最低でも年一回
樹木は一年で結構伸びる。
折角綺麗に手入れをしても、丸二年も空ければ原型も留めない程に伸び切ってしまうことだろう。
アカマツなど、一度形が崩れてしまうと取り返しのつかないような樹種もある。
枝ゴミも一年分と二年分とでは、その差は単純に倍ではない。
その上、同じ場所で切るにしても、二年たった太い枝では切り口も大きく、樹木へのダメージもそれなりに強烈だ。
多少手間が増えても、年一回以上は手を付けるべきなのだ。
落葉樹は冬、常緑樹は春先。真夏は絶対にNG!
落葉樹にとって、冬場は休眠期間である。落葉樹を剪定するならば、この時期をおいて他には無い。
ただしいくら葉っぱが無いと言っても、芽の位置には気をつける必要がある。
来春からの樹形に直接関わってくるからだ。
常緑樹はというと、新芽が伸び始める頃、3月半ばから4月にかけてが適期。
冬の寒さを越えた後で、尚かつ夏の暑さに備えさせることができる、お誂え向きの期間である。
とはいえ実際、少し形を整えるくらいならば、基本的にはいつでも大丈夫だ。
しかし大きく切り詰める場合や、枝葉を沢山落とす場合は、上記の時期を逃さないようにしたい。
理屈は省かせて頂くが、基本的に樹木は枝を切られると、それを補おうと新芽を伸ばす性質がある。
しかし新芽というのは、柔らかくて非常に脆いため、しっかりと固まる前に夏の日差しや冬の霜に当たってしまうと、簡単に枯れてしまうのだ。
生育期以外の時期に新芽を伸ばすことは、植物にとって多大なエネルギーを消費する行為だ。
それさえも枯れてしまえば、ダメージは計り知れない。
逆に、どんな樹木であろうと、剪定の時期として絶対に避けたほうがいいのが、夏前および真夏だ。
樹木が弱ってしまう大きな原因となるのが、幹や枝の日焼けである。
葉には、幹を日差しから守る役割もあるため、この時期にはなるべく減らさないほうがいいのだ。
まとめ
庭木の剪定の大原則のようなものをを、大雑把に、本当にザックリとだが、まとめさせていただいた。
植木は生き物である故、その手入れに必要以上に臆病になってしまう方は意外にも多い。
しかし例え多少切り間違えたところで、彼らは痛くも痒くもないと言わんばかりに枝葉を伸ばし続けることだろう。
私も植木屋一年生の頃は、それはそれは酷い剪定をしたものだが、それが直接の原因となって枯らしたことは、思いつく限りでは一件もない。
技術面なども含め、愛する樹木たちとともに成長してゆきたいものだ。